クロマダラソテツシジミはどんなチョウ?
【種類】 シジミチョウ科 シジミチョウ亜科
【分布地域】 本州・四国・九州・沖縄
【活動時期】 6~11月
【エサ】 花の蜜
【大きさ】 15ミリぐらい
ソテツの葉の周りをフワフワと飛びまわり卵を産みにくる小さなチョウが『クロマダラソテツシジミ』
キレイでかわいいチョウなのですが、徐々に北上していったパワフルなチョウでもあります。
さらには、ソテツを育てている人にとっては注意喚起されている蝶でもあります。
クロマダラソテツシジミは毒や害はあるのか
毒はありません。
害は直接的にはないんですけど、幼虫がソテツの葉を食べるので大事に育てている人にとっては食害されてしまう危険があります。
産卵の時期になると、ソテツの周りにたくさん飛んでいるのですぐにクロマダラソテツシジミだと分かると思います。
南からやってきたチョウ
クロマダラソテツシジミは、もともとは日本にはいない蝶でした。
1992年に沖縄で初めて確認されるようになったのが初めです。
繁殖して増え始めたのが確認されたのは、2006年に石垣島や西表島などの八重山諸島でした。
2007年には、近畿地方で発生しているのが確認されるようになって、2008年には中部地方や四国でも発生が確認されるようになりました。
さらにさらに、2009年には関東でも確認されるようになったので、本当にあっという間に生息地を広げてきたわけです。
クロマダラソテツシジミの情報
クロマダラソテツシジミの分布
本州から沖縄まで分布しています。
というよりも沖縄からやってきているので、本州まで生息域が広がっているので沖縄から本州といった分布です。
沖縄で発見されたのも1992年なので比較的最近です。
凄いハイペースで生息域が広がっているパワフルなチョウとなっています。
現在(2021年)では、千葉県辺りでみられるようになっています。
かなり適応性が強いので、まだまだ北上していく可能性が高そうですね。
国外では、台湾、中国、フィリピ、マレーシア、インド、インドネシアなど、南アジアや東南アジアなどを中心に広く分布しています。
クロマダラソテツシジミの特徴
シジミチョウの種類は見た目がよく似ているので、全部同じに見えちゃいますけどちょっとした違いでちゃんと見分けられるます。
まず翅の色は、グレーがベースというよりもちょっと茶色系に近い色となっています。
そこに、白と濃い褐色系の波模様が入っています。
名前はマダラですけど、ぐちゃぐちゃな感じではなくてやはり、波模様といった方が分かりやすい感じですかね。
フチの近くに、オレンジのワンポイント模様とスカイブルー系のメタリックな模様が目を引く美しさがあります。
翅の付け根の近くにある、黒い斑紋は4つ並んでいます。
翅を開いている時には、フチに黒いラインが入って、全体的に少しだけ紫を混ぜたようなキレイなブルーをしています。
全体的にブルーなのはオスで、メスは黒いラインではなくて翅の中央の方まで広がっているので、オスの方がキレイです。
クロマダラソテツシジミをよく見る場所
公園や草原などで休みながら、花の蜜を吸っています。
繁殖期になると一斉に、ソテツの近くに集まり始めます。
集まる時はかなり数が飛び交って、ソテツからそこそこ離れた場所でも見かけるようになります。
クロマダラソテツシジミの生態
クロマダラソテツシジミはもともと南国育ちで熱帯や亜熱帯の蝶なので、低い気温には弱い性質があります。
15℃より低くなっていくと弱っていきます。
卵であっても、幼虫であっても、成虫であっても同じです。
そして、5℃以下になると死んでしまいます。
蛹(サナギ)の状態でも、耐えられないで死んでしまいます。
なので、5℃より低くなる場所では繁殖して生活していくことができなわけです。
沖縄から関東まであっという間に分布域を広げていったのに、関東より北には生息域を広げていないのはそういった理由が関係しています。
とはいっても、温暖化の影響で最低気温がそこまで低くならない傾向もあるので、まだもう少し北上していく可能性はあります。
産卵は一度に200~300個ほど産むのですが、気温が高い方が卵を産む量が多いです。
孵化から成虫までの期間が10~18日ぐらいですが、やはり気温が高い方が孵化も成長も早いです。
羽化して発生する時期の気温が下がっていくごとに翅の模様が少しずつ薄くなる傾向があります。
高温期型、中温期型、低温期型といった呼び方で呼ばれていて、高温期が一番模様がハッキリしていてキレイです。
幼虫のエサになるのはソテツの葉ですが、気温にさえ適応できればマメ科の植物も食べるのでソテツが生えない地域にまで北上していく可能性があります。