キレイだけどイヌマキの食害が大問題の『キオビエダシャク』

キオビエダシャク
草
レア度  
すばしっこい度 
危険度  
飼いたい度  

キオビエダシャク(Milionia zonea)

学名 Milionia zonea
種類 シャクガ科 エダシャク亜科
分布地域 九州・沖縄
活動時期 4~11月
エサ 成虫は花の蜜
大きさ 45~60ミリぐらい

メタリックブルーで派手目のカラーリングの『キオビエダシャク

見るからにキレイな色をしてますけど、決して珍しいどころか時期になると大量発生してあっという間に食害していく厄介者。

同じ南方系の蛾で、メタリックブルー系仲間のルリモンホソバとは全然違う立ち位置なんですよねぇ…

キレイな瑠璃色の九州・沖縄の蛾『ルリモンホソバ』
名前の通り、光の当たり具合によってキレイな瑠璃色に輝いている『ルリモンホソバ』意外と大きめの蛾なので目を惹くし、色や模様も見ごたえのある子です。ただこの蛾は、日本では九州から沖縄にかけてしか生息していないのが残念なところですね…

まあ、九州や沖縄では厄介者扱いですけど、それ以外の場所では目にすることのない派手な装いの蛾にしか見えないですよね。

凄くキレイなんですけどね。

キオビエダシャクには毒や害はあるのか

キオビエダシャク

見た目が派手なので私は毒があります!!
といった雰囲気なのですが、毒はないです。

ただ問題となっているのが何といっても食害です!!

イヌマキはあっという間に幼虫に食べ尽くされてしまい見る影もないほどに…

場合によっては立派に庭木として育った見応えのあるイヌマキも、枯れてしまうほどの勢いで食べ尽くしてしまうのでテレビで注意喚起されるほどのひどい食害レベル…

食欲旺盛な幼虫に困っている人は年々増えている状態なのです!!

幼虫についての詳しくは別記事でまとめてありますのでそちらをご覧ください。

イヌマキが食べ尽くす害虫!!『キオビエダシャクの幼虫』被害に対処する
イヌマキの木の葉が、何者かに丸坊主に!?その犯人が、『キオビエダシャクの幼虫』です。見事に大量発生して、あっという間にイヌマキだけでなくてラカンマキ、ヒトツバ、ナギもターゲットにして壊滅的に食べ尽くしていきます。

キオビエダシャクの顔はちょっと強そう

正面からマクロで見るとメタリックブルーがもの凄くキレイで輝いています!!

でもなんだかいかつい感じの顔で、カワイイ顔という雰囲気はないんですよねぇ~

キオビエダシャクのいかつい顔

ちょっと噛みついてきそうな顔をしてますよねっ。

噛みつくなんてあり得ないんですけど、なんかハンミョウ系のような強そうな顔にちょっと見えませんか??

でも、普通に花の蜜を吸うか弱い子なんですけどね。

キオビエダシャクの情報

キオビエダシャクの情報

キオビエダシャクの分布

国内では、九州と沖縄に限定されている蛾です。

鹿児島の離島では、種子島、屋久島、奄美大島、喜界島。
沖縄の離島では、久米島、慶留間、阿嘉島、宮古島、石垣島、西表島などに分布しています。

鹿児島では奄美大島までが自然分布だったんですが、九州本土の鹿児島と宮崎に定着してからさらに北上傾向にある状態です。

なんで今後は徐々に生息地を拡大していくであろうと思われます。

結構繁殖力が強いですからあっという間からもしれないですね…

国外では、台湾、中国、インド、インドネシアなど東南アジアを中心に分布している南方系の蛾です。

キオビエダシャクの特徴

すぐに目に付くのは、メタリックブルーの顔周りです。

個人的には凄くキレイな色をしています。

でも、名前の由来になっているのは、翅の黄帯(キオビ)なのでこの模様が一番の特徴なのかもしれないですね。

実際には、黄色の帯というよりはオレンジ色の帯模様と言いたいところですが、ここはあえてオレンジに近い黄色の帯模様としておきますね。

キオビエダシャクの特徴

翅のベースは黒なので、オレンジの… イヤっオレンジに近い黄色の帯模様が一層際立っています。

メタリックブルーの顔周りはツヤツヤの感じに見えますが、近くで見るとボサボサした毛で覆われているのが分かります。

蝶の鱗粉がキラキラして見えるのとは違うものなので、遠めで見るのと近くで見るのでちょっとイメージが違って「あぁ…」ってなる感じですね。

別に嫌ってわけじゃないです。
でも、なんだけショックなインパクトはあると思います。
きっと苦手な人は凄く苦手な感じですから…

ちなみに、脚もメタリックブルーで顔周りと同じようにちょっとフサッとした感じです。

キオビエダシャクの住処

キオビエダシャクは時期になると一斉にでてくるので、イヌマキの木などの近くにワサワサいるので探さないでも普通に出会うことができます。

結構あちらこちらの壁などで休んでいることが多いので、色も色だけにすぐに目にはいってきますからね。

逆に時期にあたらないと、ちらほらも見かけることないぐらい全く見なくなります。

キオビエダシャクの生態

キオビエダシャクの産卵
産卵中のキオビエダシャク

キオビエダシャクは、発生期間が長いです。

地域にもよりますけど、4月から11月ぐらいまでの間に3、4回同じようなタイミングで発生します。

なので幼虫の食草となる、イヌマキ、ラカンマキ、ナギなどのマキ科の木は春から秋にかなて長い期間の間、結構な被害を受けることになります。

年に多くて4回も丸坊主にされてしまえば、立派に育った木でもさすがに枯れてしまいますので。

庭木や垣根にしている場合は、それなりの対策をしないと甚大な被害は間逃れないわけです。

当たり年にはかなりの数の成虫が発生するので、その年の被害は驚異的としか言えないほどになります。

成長した幼虫は、食草となったイヌマキの木などの根元付近に潜り込み蛹となって羽化するサイクルを繰り返していきます。

冬の越冬は、蛹の状態で過ごしますけど屋久島では幼虫のまま越冬が確認されている場所もあるのである程度の寒さにも耐えられえるようです。

羽化した後は、夜の街灯に集まる蛾とは違って昼間に活動する昼行性のタイプです。

幼虫とは違って花の蜜を吸うので無害なのですが、出会いと産卵のためにイヌマキの木などに集まってくる時期には密度がグッと上がる状態になります。

飛ぶのもなかなか上手いうえに、警戒心が強く反応もかなり早いのでなかなか近づかせてくれない意外と俊敏な蛾でもあります。

キオビエダシャクを駆除するなら

増加中のキオビエダシャク

あまり駆除を勧めたくないのですが、羽化したキオビエダシャクはその俊敏さゆえに捕殺して庭木を守るのはなかなか難しいものがあるので、幼虫のうちか蛹のうちに薬剤駆除するしかないです。

成虫や卵の時には薬剤散布しても効果がないので、幼虫期の時にトレボン乳剤スプラサイト乳剤、アデオン乳剤を散布し、蛹の時にはカルホス乳剤が効果的とされています。

トレボン乳剤は希釈して使うのですが、キオビエダシャクは幼虫や成虫は大量発生することが多いので、少量タイプではなくてしっかり量がはいっているものの方がコスト的にいいと思います。

キオビエダシャクが発生して、幼虫や成虫をトレボン乳剤などで駆除した後にも、生き残りが土の中で蛹(サナギ)になってしまっていると、結局また大量発生することになります。

一応、カルホスを根本にまいてしっかりと対処しておいた方がいいです。

詳しくは、鹿児島県が森林保護で出しているムページに詳しく載せられていますので参考にしてみてください。

キオビエダシャクについて
キオビエダシャクについて:

年々キオビエダシャクの被害は拡大していますし、幼虫の食害は驚異的なので駆除もやむを得ない状態です。

今後、キオビエダシャクの異常発生にもなるとそれこそ驚異的な問題になってしまいますからね…

見た目は派手でキレイな蛾ですけど、対策は先手先手で打っていくしかないですね。

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