イヌマキの木の葉が、何者かに丸坊主に!?
その犯人が、『キオビエダシャクの幼虫』です。
見事に大量発生して、あっという間にイヌマキだけでなくてラカンマキ、ヒトツバもターゲットにして壊滅的に食べ尽くしていきます。
イヌマキを垣根にしていたり、ヒトツバを立派に育て上げている人にとっては、本当に厄介な害虫されている強敵です。
とはいっても、もともと南方系の蛾(ガ)なので九州や沖縄にしかいないので、あまり知らないという方も多いかもしれません。
しかし、分布を少しずつ拡大しているので、全く関係ないわけではなくなるかもしれません!!
キオビエダシャクの幼虫とは何者なのか
キオビエダシャクは簡単に言いますと、凄く派手な蛾(ガ)です。
その蛾(ガ)の幼虫なので、つまりよく言う毛虫ですね。
成虫の蛾(ガ)は、人目を引く色をしているのですぐに分かると思います。
キオビエダシャクの被害で苦労するのは、発生時期が4~11月と長くて多い所では4回も卵を産むので対処しなければならない時期が長いことです。
私が観察している地域では、だいたい3回ですが場合によっては2回の所もあります。
2回発生でも大変なのに、その倍の4回となるとさすがに木も枯れてしまうレベルですね…
しかも、1匹が産卵する卵の数は数十~数百個になるので結構な数の幼虫で攻めてくるので、食べられるスピードが凄く速いです。
成虫のキオビエダシャクについては、別の記事でまとめてあるので詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
キオビエダシャクの幼虫に毒はあるのか
成虫の色を見ると、派手なので毒があるようのでは!?
といった雰囲気がありますが、毒はないです。
幼虫も個性的なファッションセンスのある模様をしていてますがやはり毒はないです。
幼虫にも成虫の蛾(ガ)にも毒はないので安心してください。
よく毛虫は、触ったらかぶれるイメージがありますけど、触っても全く問題ないです。
そもそもキオビエダシャクの幼虫には、毛虫とは言えないほどチョビチョビとしか毛が生えてないですので。
毒がある毛虫の種類は体に生えている毛を使っているので、こうした毛の少ない幼虫は手に乗せても大丈夫です。
ちなみに、噛みついてくることもないです。
イヌマキの葉を食べるぐらいなので、しっかりとしたアゴをもってはいますけど、それを武器にしてくることはないです。
キオビエダシャクの幼虫の好物
キオビエダシャクの一番の好物は、イヌマキの葉です。
鹿児島や宮崎では特に、イヌマキを垣根にしている人が多いの被害に合いやすくなっています。
もちろん、垣根でなくて庭木として育てていても被害は同じです。
キオビエダシャクはそこまで高く飛ぶのが得意な方ではないので、背を高く育ててある方が被害を受けにくいですが、卵は幹の樹皮の割れ目などに産み付けるので結局は上の方まで上っていって食べられてしまいます。
ラカンマキの葉も、イヌマキの変種なので性質がほとんど同じですから、やはりキオビエダシャクの幼虫にとっては好物なのは同じです。
ラカンマキの方は、イヌマキよりも葉の長さが短いうえに成長速度がゆっくりですし、高さもイヌマキよりも高くならないので、キオビエダシャクの幼虫に食べられてしまうと被害が大きくなってしまいます。
ヒトツバも、キオビエダシャクの幼虫が好みますけど、イヌマキやラカンマキほどではないと思います。
これは、個人的に観察するかぎりでは、イヌマキやラカンマキは壊滅状態になっている場所はかなりたくさん知っているのですが、ヒトツバにキオビエダシャクの幼虫が食べているのを見たことがないからです。
そういった意味では、ナギの木もキオビエダシャクの幼虫は食べるのですが、やはり見たことがないです。
ナギに関しては、私の知っているキオビエダシャクの幼虫が大量発生している地域では、植えている場所が少ないので単純に個人的なデータ不足なのが大きいです。
キオビエダシャクの幼虫の対処法
キオビエダシャクの幼虫が食べると分かっているなら、予防をしっかりとしておけばいいだけの話しですよね。
でも、それがなかなか難しいんです…
対処せずに放置しておくとどうなるのか
たいがいの場合どんな生き物でも、特に幼虫のような弱い生き物は天敵がいるので、ある程度は放置していても大丈夫だったりしますよね。
では、天敵を期待して対処なしで放置してみたらどうなるのでしょうか??
残念ながら丸坊主覚悟になります。
なぜかといいますと、イヌマキやラカンマキ、ナギには種子にそれぞれ毒性のある物質があるので、それを体内に蓄えて天敵から身を守っているからです。
イヌマキやラカンマキには「イヌマキラクトン」が、ナギには「ナギラクトン」という物質で、シロアリを駆除する成分でジテルペン類になります。
もし人間が、イヌマキの実を食べるとおう吐や下痢といった症状がでます。
これらの毒性は種子にだけでしかも、赤と緑の団子状にできる実の赤い方はブドウに似た味で、緑色の方に毒性があります。
葉に含まれているのかどうかの情報がないので、その毒性を本当に蓄えているのかはなぞですが、鳥たちが喜んで食べないのは事実です。
しかし、寄生蜂や寄生バエなどに寄生されることは確認されいまし、アリも天敵となることも分かっています。
なので、全く天敵がいないわけでないのですが、数を激減させるほどの天敵がいないわけです。
しかも幼虫たちは危険を感じた時に、口から糸をだしてぶら下がって逃げることができるのも数を維持している理由の一つとなっています。
もともと数が多いのに、さらに生存率がなるすべをもっているというわけです。
チャドクガの幼虫は、毒針毛で身を守っているので生存率が高いのと同じぐらいキオビエダシャクの幼虫も生存率が高いように感じています。
しかっりと対処していく
正直いって可能な限り駆除の方法を取るのは避けてほしいのですが、年に数回も葉を食べ尽くされてしまうと、さすがに木も枯れてしまうのでなんともいえないところですね…
大量発生しても、全くの無害なら良よかったのですが被害が大きくて、各県などで害虫として駆除に力を入れているところもあるほどですから。
自分は何もしなくてもいいと思っていても、近所の人たちが必死で駆除しようとしていた場合、ご近所トラブルの元にもなる得ますからキオビエダシャク問題は、簡単な問題ではないのです!!
捕獲する
薬を極力使いたくない場合は、虫取り網で成虫の蛾(ガ)を地道に捕まえてしまうことです。
捕まえた蛾(ガ)は可哀想ですが、食べるわけにもいかないのでそのまま捕殺するといった方法が無難です。
成虫は天気のいい晴れの日は、日差しの強い時間は活動が穏やかで隠れていることが多いです。
ただ、成虫の記事にも取り上げてありますが、気配に気づくのが意外と早くて敏感に逃げていくことが多いです。
なので、思ったよりも捕まえるのは簡単ではないです。
動き回る時間を狙うなら、朝の10時ぐらいまでと夕方の日没前の2~3時間が活発に飛び回っているので捕獲しやすいと思います。
とはいっても、全部を捕らえることは無理だと思います。
幼虫が発生してきたら、糸でぶら下がる習性を利用して木の太さにもよりますが、木を揺らしてみてください。
ちょっとした振動でも反応して、糸でぶら下がるので簡単に落ちできます。
もし触れしまっても、毒がないのでかぶれたり炎症を起こすことがないので、イモムシが嫌いでなければこの方法が使えます。
地面に落ちても、慣れたものですぐにまた木に登り始めるので、やはり捕まえる必要があります。
・幼虫は、木を軽く揺らすだけで落ちてくるので簡単に見つけることができる。
薬を使う
個人的には薬は好きではないのであまりお勧めしたくないのですが、毎年被害の大きい鹿児島や沖縄、宮崎などでは、薬の散布を勧めています。
半端に自分で薬剤散布をすると、人体へ悪影響あるので注意が必要ですし、近所トラブルにもなるので前もって薬を撒くことを伝える必要があるでしょう。
地域によっては、薬剤散布をしてくれる業者を紹介していたり、薬剤散布の機材の貸し出しもしています。
紹介されている県や市のホームページを載せておきますね。
❒ 鹿児島県鹿児島市HP
業者紹介・散布機材貸し出し・薬剤一覧と撒き方
❒ 鹿児島県出水市HP
問い合わせのみ
❒ 鹿児島県さつま町HP
問い合わせのみ・薬剤一覧と撒き方
❒ 鹿児島県薩摩川内市HP
問い合わせのみ
❒ 鹿児島県指宿市HP
問い合わせのみ
❒ 鹿児島県鹿屋市HP
薬剤散布依頼紹介(森林組合)
❒ 鹿児島県霧島市HP
問い合わせのみ・薬剤散布の一覧
❒ 鹿児島県姶良市HP
薬剤散布依頼紹介(シルバー人材センター)・薬剤散布の一覧
❒ 宮城県宮崎市HP
薬剤散布機材貸し出し問い合わせ
❒ 沖縄県PDF
薬剤散布について
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/shinrin/keiei/documents/02-02.pdf
規模が小規模の場合は、市販の殺虫スプレーでも効果があるようです。
なんの薬を使うにしても、半端にすると薬剤抵抗ができてしまう可能があるので、やる時は徹底的にした方がいいです。
天然由来の対策がない…
キオビエダシャクは発生すると数が多いので規模が大きいのもあって、捕殺するか薬剤散布するしか主だった方法がないです。
できれば、天然由来の成分で寄せ付けない方法がとれればいいのですが、残念ながらいまの段階では公に研究もされていないようです。
ハーブでいいのがあれば凄くいいんですけど…
今回は、キオビエダシャクの幼虫について取り上げましたけど、キオビエダシャクは現在徐々に北上して分布地域を広めています。
台風などによって運ばれて繁殖していくことがあり得るので、特に千葉県ではイヌマキが県の木とされていますので、関東まで広がることはそうそうないと思いますけど、広めてしまわないようにぜひ対策法を覚えておいて、まだ分布していない地域で発見された時には、役場などにすぐに相談していただければと思います。