ジョロウグモ(Nephila clavata)
【種類】 ジョロウグモ科
【分布地域】 本州・四国・九州・沖縄
【活動時期】 9~11月
【エサ】 網にかかる大きな虫から小さな虫
【大きさ】 オス5~10ミリぐらい メス20~30ミリぐらい
秋頃になるとあちらこちらで、黄色の蜘蛛(クモ)の巣だらけになることってないですか??
ちょっと大きめの蜘蛛が真ん中にデンッといる感じなのが『ジョロウグモ』です。
ジョロウグモって名前は聞いたことがある人も多いと思います。
日本昔話を始めとするアニメや漫画、ゲームなどにも使われることがありますからね。
実際には私たちのごく身近な存在で、秋頃になるとジョロウグモの網だらけで知らずによく顔に絡んでくるそんな蜘蛛のことです。
ジョロウグモは毒や害はあるのか
見た目が派手な模様をしているので毒があるアピールをしていると思われがちですけど、人間に対しては毒はないです。
100%毒がありません!!
と言い切ってしまうと、それは嘘になってしまうので限りなくゼロと言っておきますね。
獲物となる昆虫たちに対しては毒となる成分を大抵の蜘蛛はもっているんですけど、人間に対してはサイズ的にも成分的にも無毒といっていいレベルなので。
害に関しては、単純にクモの巣だらけになって家の周りが汚く見えるってことですかね。
活動期間の9月~11月頃は、繁殖活動中であちらこちらに網を張っているので頭や顔に絡んでくることも多々あります。
いっくら網を壊しても、また網を張り直すか、多少は壊れたままでも網を使用し続けるなどなかなかいなくなってくれませんからね。
ジョロウグモの情報
ジョロウグモの分布
よく見かける一般的な蜘蛛ですけど、九州から本州までの分布で北海道には生息していないので全国的にメジャーな蜘蛛というわけではないです。
国外では、インド、台湾、中国、朝鮮などにも分布しているのでアジアではメジャーな蜘蛛となっています。
しかし、最近ではアメリカのジョージア州に定着し始めたことがナショナルジオグラフィックで取り上げられています。
船の貨物に紛れて渡り、そのまま定着したようです。
なので、今後もしかしたら世界に分布を広げていく可能性があるかもしれませんね。
ジョロウグモの特徴
見た目が派手なことから女郎と付いたと言われるだけあって、色合いが派手な模様が特徴となっています。
よくコガネグモと勘違いされがちですけど、ジョロウグモの方が模様が複雑で派手です。
赤、黄色、黒、白といった色がグチャグチャに混ざっているようできちんと左右対称の模様となっている芸術的な配色です。
脚は黄色と黒でクッキリと分かれた踏切のような色をしています。
体(腹部)は細長い体型をしていますが、メスは産卵前に見違えるようにぷっくらしてパンパンになるので一瞬違う蜘蛛のようにも見えます。
オスはメスの4分の1か5分の1程度の大きさしかないので、まるで子供の蜘蛛が側にいるかのようにすら見える小ささをしています。
色も、赤が入っていないので派手さはなくて茶色っぽく見えるのでむしろ地味。
脚の色も、緑っぽくてハッキリとしない色をしています。
メスとは大きさも色も全然違うなんだか控えめな脇役のような存在感があります。
ジョロウグモの住処
ジョロウグモはどこにいるのか??
もうあっちこっちにいます!!としか答えようのないぐらい活動時期になるとどこにでもいます。
家の周りにでも、森や林にでも時期になればどこそこ住処になって暮らしています。
ジョロウグモの生態
ジョロウグモは、見事なまでに黄色の糸で網を張って獲物を捕らえています。
見方によっては、金色の糸にも見えると思います。
円形の網(円網)で、網目が細かいので小さな虫もしっかりとキャッチできるようになっています。
私はよくこの網を顔から見事にキャッチしてします。
ジョロウグモは糸を出せる量が多いので網も大型のものになることが多いです。
しかも糸がベタベタしているので、服や頭にベッタリくっつくんですよね…
用紙類だと、黄色の糸の色素が付いてしまうので注意が必要です。
いまのところ、洋服に付いたことはないですけど、生地によっては黄色くシミになるかもしれないで気を付けた方がいいです。
もし網が壊れてしまったら、派手に全壊しない限り壊れた部分だけ修理して使っています。
よく目にするのは秋頃になってからですが、卵から孵化しているのは春で7~8回の脱皮を繰り返して成熟するのが秋頃なので、その頃になると産卵に備えるので活発に動き始めるわけです。
子供の頃(幼体)の時期は、目立たない所でひっそりと暮らしているのであまりお目にかかることはほとんどないですね。
ジョロウグモのオスは、メスと違って地味な色をしていて小さいです。
一つの巣(網)に大きいのと小さいのがいる時は、大きいのがメスで小さいのがオスです。
9月~11月にオスのジョロウグモはメスが最後の脱皮をしている瞬間か、エサを捕獲して食べている間にコッソリと交尾します。
そうでないと、メスに食べられてしまうので…
ちょっとカマキリに似てますね。
交尾を終えたメスは、卵嚢(らんのう)という袋のようなものに赤っぽいラズベリーのような卵を数百個ほど格納して壁や木などに貼りつける形で産み付けます。
個体によっては木のクズなどを張り付けてカモフラージュしておくこともあります。
産卵後のメスは、卵嚢を守るものもいればそのまま死んでしまったり、また網を張って生活するなど行動パターンは一貫していないようですが、産卵は生涯のうち一度だけです。
ジョロウグモの子供たちは旅に出る
ジョロウグモが家の周りをクモの巣だらけにしてしまうほどなのに、卵から産まれてきた子グモたちを見かけないのは旅に出るからです。
少数にグループに分かれてから高い所に上っていき、糸を上手に使って風に乗って遠くへと旅に出てそれぞれ散っていくのです!!
その行動は「バルーニング」と呼ばれています。
こうして、広く遠くへと移動してどこにでも見かけるようになるんですね。
こうした特技ゆえに、アメリカに入ったジョロウグモは分布域を広げていくと考えられているようです。
ジョロウグモは私たちの味方
とまあ、ジョロウグモについて取り上げてきたわけですけど、家の周りを黄色のクモの巣だらけにされたくない人もたくさんいると思います。
確かに、家の周りに大きな網を張られてしまうと決して見た目にはキレイではないですからね…
でも、悪い事だけではないんですよ。
害虫をたくさん捕まえてくれる
ジョロウグモの網は大きくて網目が細かいので、大きい虫から小さな虫まで色々な種類の虫を捕まえてくれます。
家の周りに集まってきやすい蛾やハエさらに蚊(カ)などの小さな虫も捕まえてくれます。
特に、ジョロウグモが大きな網を張る時期には、家の中によく入ってくる蚊(カ)の種類でアカイエカも活発に活動していますし、強烈な臭いで嫌がられているツヤアオカメムシが大量発生しやすい季節でもあるので。
※「家の中によく入ってくる茶色い蚊!!『アカイエカ』」と「夏から秋に大量発生する緑の臭い代表!!『ツヤアオカメムシ』」を参照してみてください。
ジョロウグモはそうした、私たちにとって明らかな害虫となる虫たちを食べてくれるのです。
ツヤアオカメムシの臭いも全く気にする事なく、網にかかれば普通に食べてくれるのでかなり助かりますよ。
さらに、蛾(ガ)や蜂(ハチ)も捕まえてくれます。
場合によっては、スズメバチも捕獲してしまうことすらあります。
でも、スズメバチに関しては逆にジョロウグモを襲って食べてしまうこともあるのでなんとも言えないところではありますけど…
何にせよ、かなり大きなサイズの虫であっても捕獲してくれるので、虫が苦手な人にとってはジョロウグモ自体が苦手かもしれないですけど、家に入ってくるような虫たちを捕まえくれる頼もしい存在なのは間違いありません。
ジョロウグモが網を張る場所は虫の通り道のサイン
ジョロウグモがクモの巣だらけにしてしまう場所は特に、何かしらの虫が集まる場所です。
自分だったら、食べ物が得られないような所に罠を仕掛けたりはしないですもんね。
これは逆に考えると虫の対策をとりやすいサインでもあります。
つまり、蚊(カ)がたくさんついているようなら、そのすぐ近くに蚊(カ)が発生しやすい環境になっているかもしれません。
蛍光灯の光に集まってくる虫をターゲットにしているようなら、LEDに換えることで集まってくる蛾(ガ)やカメムシを減らすようにすることができるかもしれません。
そう考えると、ジョロウグモが家の周りをクモの巣だらけにしてしまうなら、それをサインと見て環境を変えることで家の周りをキレイに保つことができるので私たちの味方でもあるんですよ。
ジョロウグモの対処法
張っている網を壊してもまたすぐに新しい網をせっせと作り直します。
そこが、エサを多く獲れる場所になっていればなおのことです。
結局退治するしかないのですが、大きな網を張っているのも2か月程度なので出来れば色々な虫を食べてくれる益虫(えきちゅう)ですしそのままそっとしておいてくのが一番なのですが、たくさん網を張るとちょっとねぇ…と思うこともありますよね。
そんな時の究極の対処法があります!!
それは…
食べてしまうことです!!
えッ!?
と思うかもしれないですけど、ジョロウグモは昆虫食デビューにはもってこいで有名みたいなのです。
産卵前でマンマルしたメスに関しては、素揚げで食べるとクセがないので美味しいみたいです。
みたいです…
すみません…
実際に、自分で食べたことはないです…
機会をみて試してみる予定ですが、ちょっと甲殻類アレルギーがあるので不安があるもんでいまのところ未定です。(言い訳です…)
なので、未完成の対処法をご紹介してここで失礼させていただきます。