大きくてまるまると太ったイモムシが、一心不乱に山芋の葉っぱを食べている姿を見つけることができたらそれは、『キイロスズメの幼虫』です。
キイロスズメは、スズメガという種類の蛾(ガ)の幼虫なります。
もの凄い食欲なので、あっという間に山芋の葉っぱを食べ尽くしていきます。
山芋を育てている人にとっては害虫ですけど、芋活に励んでいる人にとってはなんとも可愛いイモムシちゃんではないでしょうか。
キイロスズメの幼虫はどんなイモムシ
キイロスズメの幼虫は、山芋が育つ初夏から秋口にかけて発生します。
だいたい、6~10月頃に出会うことができます。
観賞用であれ食用であれ、山芋を育てている人にとっては害虫でしかないですよね。
あっという間に丸坊主にする勢いで葉っぱを食べてしまいますからね。
好きな人にとっては、その食べっぷりがなんとも可愛い魅力の一つなんですけどね。
ムシャムシャと食べていく姿は見入ってしまう人も多いはずです。
成虫になったらどんな蛾(ガ)になるのかもご紹介しておきますね。
スズメガの種類は、そこそこ大きな蛾(ガ)で時速50キロほどで飛ぶことのできる、飛ぶ能力の優れた種類になります。
キイロスズメも、その種類になるのでやはり飛ぶのが得意です。
見た目も可愛いので、結構人気者でもあります。
名前にキイロと付きますけど、言うほど黄色くはないです。
体(腹部)が、黄色のようなオレンジのような感じなぐらいですね。
毒はあるのか
イモムシや毛虫は毒があるか心配になると思いますけど、毒はないです。
なので、触っても全く問題です。
先の方にピョコンとでているツノのような突起がありますけど、それは「尾角」というもので尾と書くようにそってがお尻になります。
よくそこに毒があると思っている方もおられますが、刺されたりすることもないですし毒もないです。
尾角はちゃんとした意味がよく分かっていなくて、私たちには間違いなく害はないのでちょっとしたファッションだと思って安心してください。
好物の葉っぱ
キイロスズメの幼虫は、山芋を専門に食べる山芋通です。
山芋といっても数種類あるんですよね。
山に自生している高級品で有名な自然薯(ジネンジョ)、スーパーでよくみかける真っすぐの長芋(ナガイモ)、自分の畑など育ててやすい球根型の大和芋(ヤマトイモ)、沖縄の自然薯である大薯(ダイジョ)などです。
自然薯は、学名でヤマノイモと呼ばれていて本来の山芋は自然薯のことを指します。
名称に関しては、大和芋は地域によってつくね芋と呼ばれたり、イチョウイモを大和芋と呼んだりしているので結構ゴチャゴチャしてます…
ただはっきり言えるのは、キイロスズメの幼虫は私たちが食べる山芋の葉っぱが大好きということです。
色は2色ある
よく見るのは緑ですけど、茶色のタイプもいます。
2色とも知らないと、別の幼虫だと思ってしまいますよね。
キイロスズメの幼虫は、緑と茶色の2色あるので好きな人にとっては2度楽しめるわけです。
個人的な遭遇率としては、緑の方が多いです。
緑の方が小さな脚が黄色なのでアクセントになっているので、またそれがいいんですよねぇ~
山芋の葉っぱを食べている大きなイモムシがいたら、緑でも茶色でもキイロスズメの幼虫で間違いなしというわけです。
ちょっと可愛らしい特技
凄くカワイイ特技で驚いた時やチョンと顔を触ると、見事に顔を引っ込めることができます。
えっ!!こんなにってぐらい引っ込めることができるので見てて癒されますね。
スズメガの種類の中でも、特にキイロスズメの幼虫はこの「顔引っ込め」の特技が得意です。
真横から見ると、見事に顔がめり込んだ状態になっています。
隠れきれるわけがないけど、この必死に隠れようとしている感じがキュンとこないですか??
キイロスズメの幼虫に出会ったら
もし、庭や畑で育てているキイロスズメの幼虫に出会ったのが苦手な方でしたら、可能であれば葉っぱにいれば葉っぱごと切り落とすか、割箸でつまんで山芋が生えていそうな所が少し離れた場所にあれば逃がしていただけると嬉しいです。
苦手な人にとっては成長した幼虫は迫力があり過ぎると思いますけど、大抵の場合集団で発生するようなことはないので1匹大きいのがいることが多いですから。
可愛いので飼育してみる
芋活をしていたり、アゲハなどのチョウの幼虫は育てたことがあるけど蛾(ガ)の幼虫はまだであれば、キイロスズメの幼虫は育てやすいので是非チャレンジしてみてください。
問題となるのはエサですけど、先ほど取り上げた山芋がそれなりたくさん手に入るならいいのですが、難しいようならちょっとした林などに山芋は結構生えているので探してみてみてください。
エサの種類については山芋なのですが、私たちが食べる山芋として食べるものだけでなくてさらに細かい種類があるんです。
ツルに「ムカゴ」という小さな実ができるのをご人事ですか??
味は小さな山芋といった感じで、炊き込みご飯にしたり炒ったりすると美味しいのですが、その実ができるツルならキイロスズメの幼虫は喜んでたべます。
というのも、山や林などにある山芋の葉っぱはそっくりで、オニドコロ、ニガカシュウ、カエデドコロといった感じで、慣れていないと葉っぱを見ただけだと区別しにくいです。
ムカゴができるできないや、花、ツルの巻いていく向きなどで見分ける事ができるのですが、難しく考えずにハート型のツルの葉を30センチぐらいの長さで切って食べるか様子を見てみてください。
経験上、好みに合わなかったりや食べれないものは食べないので、違う場所に探しにいって見つけてくばOK
見分ける参考になるサイトを載せておきます。
一番は、食べていたツルの葉を与え続けられればいいんですけど、かなり食欲旺盛なので蛹(サナギ)になるまでにたくさん食べるので早めにエサとなる葉っぱの確保をしてあげてください。
成虫になるまで
サナギになる直前は、水分が多いタポンタポンの体型が少しだけキュッとした感じになります。
その時は、少しだけフンの臭いがきつくなります。
サナギになる時には、土の表面に凄く簡単な繭(マユ)を作ります。
土に潜るわけではないので入れていなくても大丈夫なのですが、葉っぱを使って繭(マユ)を作るので角の辺りにどっさりとはいらないので数枚枯れていてもいいのでまとめて置いておいてあげてください。
写真をよく見ると糸が少し張られているのが分かると思いますけど繭を作っているところです。
元は普通に緑だったのがサナギになる前段階でちょっと変わってきてます。
このままでも繭は作れるのですが、もっと葉っぱがあった方が落ち着くので悪い見本ですね…
ちなみにサナギになった時期が10月ごろだと、そのまま冬を越して次の年の6月ごろに成虫になるので、幼虫から成虫までをすぐに見たい時は夏頃の子を探すといいですよ。
エサも確保しやすい時期ですし。
飼育しても上手くいかないこともある
家に連れて来た時に、すでに寄生蜂や寄生バエに卵を産み付けられている事があります。
その状態だと成長はしていくのですが、サナギになる前に力尽きたり、サナギから寄生蜂や寄生バエがでてくることがあります。
写真のように、黒い点々は模様ではなくて寄生蜂に刺された痕です。
写真のように何らかの原因でサナギになる時に失敗して力尽きてしまうこともあります。
本当に可哀そうですけど、そういった事もあるという事実を知ってもらうために載せました。
自分ではどうにもできない事に遭遇することもありますけど、愛情を込めて育ててあげてください。
動きは早いし、あまり街中ではお目にかかれないイシガケチョウ。
幼虫から育ててみたら、なんともステンドグラスのようにキレイな蝶でした!!
翅の形も特徴的でとても素敵な蝶ですよ。